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東京高等裁判所 昭和60年(行コ)110号 判決

控訴人

宮川淑

被控訴人

鈴木忠兵衛

被控訴人

髙橋国雄

右両名訴訟代理人弁護士

水上康平

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人鈴木忠兵衛は、市川市に対し八億七七七二万円及びこれに対する昭和五四年一二月六日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

3  被控訴人髙橋国雄は、市川市に対し七億四六四八万円及びこれに対する前同日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

4  訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人らの負担とする。

5  仮執行宣言

二  被控訴人ら

1  本案前の裁判

(主位的)

(一) 原判決を取り消す。

(二) 控訴人の訴えをいずれも却下する。

(三) 訴訟費用は、第一、二審とも、控訴人の負担とする。

(予備的)

(一) 原判決を取り消す。

(二) 控訴人の被控訴人鈴木忠兵衛に対する訴えを却下する。

(三) 控訴人の被控訴人髙橋国雄に対する訴えのうち、昭和五二年一二月二五日から同五三年九月一二日までの間に支給された給与に関する損害賠償請求の部分を却下する。

(四) 訴訟費用は、第一、二審とも、控訴人の負担とする。

2  本案の裁判

主文同旨

第二当事者の主張

当事者の主張は、次のとおり付加、補充するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

(控訴人)

一  被控訴人らの本案前の主張に対する反論

1 給与の支給権限が市長から人事課長に委任されている場合でも、被控訴人らは、市長として予算の執行権及び会計の監督権を有している(地方自治法一四九条二号、五号)うえ、市川市財務規則上支出負担行為について決定権を有しており、したがって、人事課長のした職員の給与に関する支出負担行為及び支出につき法的責任を負う立場にあるから、被控訴人らは地方自治法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」として被告適格を有する。

また、本件における給与支給の違法性は、被控訴人らのした勤務時間の違法短縮が原因となっており、このように両者が連鎖関係にある場合には、原因行為に関与した被控訴人らには被告適格があるというべきである。

2 監査請求前置の制度は、裁判所に違法、不当な行為の是正を求める前に、地方公共団体内部で自主的解決を図るべきことをその目的とするから、請求の基礎事実が同一である限り、訴訟の段階で新たな違法事由を付加することができる。本件において、人事課長の給与支給に対する被控訴人らの指揮監督権の不行使を違法とする控訴人の主張は、違法な勤務時間の短縮を原因とする給与の違法支給についての主張と基礎事実が同一であるから、控訴人の右主張は許されるべきである。

3 本件の違法行為は、一回限りのものではなく、被控訴人鈴木忠兵衛(以下「被控訴人鈴木」という。)のした市長決裁に端を発し、勤務時間の違法短縮は、その後毎日、給与の違法支給は、その後毎月繰り返されてきた。

そこで、仮に、監査期間を遵守しなかったことについて正当な理由がないものとしても、本件監査請求を遡る一年以内の行為はその対象となるから、少なくとも被控訴人髙橋国雄(以下「被控訴人髙橋」という。)については、右期間内に支給された給与に関し損害賠償請求をすることができる。

二  本案についての主張

1 公金の支出とその原因行為とが不可分の連鎖関係にある場合には、原因行為が違法であれば公金の支出も違法となり、結局違法な公金支出についてその原因行為に関与した者が損害賠償責任を負うべきである。本件では、給与支給の違法性は被控訴人らのした勤務時間の違法短縮が原因となって生じたものであるから、被控訴人らに賠償責任がある。

2 地方公共団体の長は、地方自治法一五三条一項に基づきその権限に属する事務の一部を補助機関に委任することができるが、その場合でも、長には前記の会計監督権限や補助機関に対する指揮監督権限があるから、右権限の行使を怠ったときには、地方公共団体に対する不法行為責任を免がれない。本件においては、被控訴人らは、市長として人事課長の行う給与支給が適正であるよう指揮監督すべき立場にありながら、前記権限の行使を怠り人事課長が給与減額の措置を執らなかった行為を放置し、その結果市に損害を及ぼしたものである。

(被控訴人ら)

一  本案前の主張

1 監査請求の対象とされた行為(地方自治法二四二条一項)と住民訴訟の対象となる行為(同法二四二条の二第一項)とは同一であることを要するが、本件では行為の主体及び請求の対象とされた財務会計上の行為につき右の同一性を欠いている。すなわち、

(一) 本件監査請求においては、違法行為をした者として特定の個人名を挙げることなく、たんに「市長」との表示がされているだけである。そして、この市長が被控訴人鈴木だけを指すものであることは、監査請求書の記載から容易に推し量ることができ、したがって、本件監査請求において被控訴人髙橋は違法行為者として請求の対象者とされなかったものである。そうすると、被控訴人髙橋に対する本訴請求は、監査請求を前置することなく提起されたものであり、不適法としなければならない。

(二) また、控訴人は、本件監査請求及び本訴請求において、被控訴人鈴木のした市長決裁をもって違法行為であると主張していたが、その後右違法行為について被控訴人らの補助機関に対する会計監督権限及び指揮監督権限の不行使である旨その主張を追加するに至った。しかし、右各権限の不行使と監査請求の対象とされた被控訴人鈴木のした市長決裁とは同一性に欠けるから、右は監査請求を経ない財務会計上の行為につき訴えを提起したものとして不適法である。

2 住民訴訟の対象は、地方公共団体の職員等のした財務会計上の行為に限定されるものであるところ、控訴人は本訴において、被控訴人鈴木のした市長決裁及び被控訴人らが右決裁によって生じた勤務時間の違法短縮について何等の是正措置を講じなかったことが右の財務会計上の行為である旨主張しているが、これらの行為が客観的にみて財務会計上の行為に当たらないことは明らかであるから、本件訴えは訴訟要件を欠くものである。

3 控訴人の主張する違法が勤務時間の短縮にあるならば、その契機が被控訴人鈴木のした市長決裁にあるかどうかとは無関係に、昭和五〇年三月から控訴人のいう勤務時間が短縮されたのであって、このことは、控訴人がいろいろの機会に知ることができたはずである。すなわち、昭和四九年当時市役所からの公式ポスターは、各町内会長の許に届けられ、同会長の許可をえて、町内会所定の掲示板に提示される仕組みであり、右市長決裁によるポスターも町内会「梨風苑自治会」の会長であった控訴人の許可をえて同町内会の五か所の掲示板に掲示されたものであるから、控訴人は右ポスターの掲示要請を受けたことにより、時間短縮の事実を知りえた。また、その主張する違法が補助機関に対する被控訴人らの会計監督義務ないし指揮監督義務の懈怠をいうのであるならば、控訴人のいう職員の遅刻、早退に対し相当額の減額支給の措置がとられていないことは、公表されている予算書及び決算書の年度比較から十分にこれを知ることができた。

右のとおり、控訴人のした本件監査請求は、期間を徒過してなされたものであるが、右期間を徒過したことにつき正当な理由がないので、地方自治法二四二条二項の要件を欠き不適法であったものであり、したがって、適法な監査請求のあったことを前提とする本訴請求は訴訟要件を欠き不適法というべきである。

二  本案についての主張

市川市の給与の支出負担行為の決定及び支出命令の手続についての人事課長の決裁は、市川市の内部的な行為であり、市長は一切関知しない。

そして、受任専決権者に対する監督責任は、対外的、最終的に市長が負うとしても、専決事項を定めた趣旨からみて、内部的には市長が監督責任を負わないのを原則とする。すなわち、地方公共団体としての市組織は、有機的一体として機能、活動をしており、監督義務は、第一義的には直属の部下に及び、その者を通じてさらに下部の職員に及ぶのである。したがって、給与についての受任専決権者である人事課長に対する内部的監督義務者は、第一次的には総務部長であるから、市長は助役を通じて総務部長を監督し、さらに総務部長を通じて人事課長を監督するという関係にある。

したがって、市長の人事課長に対する監督責任は、原則的には助役及び総務部長の選任監督に責任を負うことに尽きる。

被控訴人らは、市議会の同意を得て助役等を選任し、また日頃より助役はじめ部課長職員に対し法令に則り適切な行政事務を施行し、かつ内部規律保持に努めるよう訓示する一方、助役及び総務部長に対し、部下の監督に遺漏のないよう注意を与えているのであるから、人事課長の給与の支給に対する監督責任は尽くしている。

第三証拠関係(略)

理由

一  被控訴人らの本案前の主張について

控訴人の主張する本訴請求は、要するに、第一次的に、控訴人は、被控訴人らが市長として市職員に対する給与支給について権限を有することを前提に、被控訴人鈴木のした市長決裁により違法に勤務時間を短縮しながら短縮時間分の給与を減額しないで給与支給を行ったことを違法な財務会計上の行為と捉え、これによって市川市に損害を生じさせたとするものであり、給与支給を被控訴人らの財務会計上の行為とする右の主張が容れられない場合に備えて、第二次的に、被控訴人らが給与支給に関し受任者である人事課長に対し指揮監督権限を有することを前提に、その給与支給についての指揮監督権限の不行使を違法な財務会計上の行為と捉え、これによって市川市に損害を生じさせたとして、その賠償責任を追及しているものと解することができる。

1  そこで、まず、被控訴人らが、地方自治法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に当たるかどうかについて争いがあるので、以下検討する。

(一)  地方自治法によれば、普通地方公共団体の長は、予算の執行、財産の管理処分事務等を担当し(同法一四九条二号、六号、二二〇条一項)、出納長又は収入役は、長の支出命令を受けて公金の支出を行う(同法二三二条の四)ものとされているから、市川市において市職員に対する給与の支給に関する事項は、本来市長である被控訴人らの権限に属するものであることは明らかである。

(証拠略)(市川市財務規則)、(証拠略)(市川市行政組織規則)、(証拠略)(市川市事務決裁規程)によれば、市川市においては職員の給与支給に関する事項は、職員の給与に関する事務を主掌する人事課長の専決事項とされ、人事課長が市長に代って職員の給与支給について支出負担行為をし、支出命令を発する事務取扱いとなっていることが認められる。

しかし、(証拠略)によれば、「専決」とは、市長の権限に属する事務処理に関して「助役以下の職員がこの規程に定める範囲に属する事務について常時市長に代って決裁(最終的な意思決定)することをいう」とされている(同決裁規程一条、二条)のであるから、右にいう専決とは市長がその権限に属する事項の事務処理に関する意思決定をその補助機関(給与支給に関する事項については人事課長)にゆだねることを意味するにとどまり、その有する権限自体を委譲するものではないと解される。

そうすると、職員に対する給与支給に関する事項が人事課長の専決事項であっても、被控訴人らは給与支給の事務処理に関する権限を失うものではなく、結局被控訴人らは人事課長を自己の補助者として職員に対する給与支給を行ったものと評価できるのであるから、被控訴人らは地方自治法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に当たるもので、本訴請求は、この点において、訴訟要件に欠けるものではないというべきである。

2  被控訴人らは、被控訴人髙橋については監査請求を経ていない旨主張する。

(証拠略)によれば、控訴人は、監査請求において、市長がその決裁により条例で定められている職員の勤務時間を違法に短縮したのに、短縮時間分の給与を減額せず正規の勤務時間どおりの給与の支給を継続し、その結果、市川市に対し右減額すべき金額相当の損害を与えているものとして、市長をその名宛人とし右損害補填のため必要な措置を講ずるよう求めていること、しかし、控訴人ほか二名の提出した監査請求書には、違法な給与の支給を行った者としては単にこれを「市長」とするのみで、具体的個人名が挙げられてはいないし、その支給期間、さらには損害補填のためにとるべき具体的措置等も明記されていないことが認められる。そうすると、本件監査請求は、ひっきょう、控訴人らの主張する勤務時間の違法短縮後市長の地位にあり、かつあった者についての違法な給与支給行為をその対象事項とするものであり、したがって、被控訴人鈴木のした行為のみならず、被控訴人髙橋のした行為をも右請求の対象としたものと解するのが相当である。したがって、被控訴人らの右主張は理由がない。

3  被控訴人らは、本件監査請求は法定期間経過後にされた不適法のものであるから、監査請求前置の要件に欠ける旨主張する。

(一)  本件監査請求は、右のとおり被控訴人らのした違法な給与支給行為をその対象とするものであるが、控訴人は昭和五〇年三月以降違法な給与支給が継続して行われているとして、右支給された給与につき損害賠償を求めているのであるから、右のうち監査請求のあった昭和五四年九月一三日(この事実は当事者間に争いがない。)から遡る一年前の日以降に支給された給与に関する損害賠償請求部分は法定期間内にされ、したがって監査請求を前置したものとして適法であるが、それ以前に支給された給与に関する損害賠償請求部分、すなわち被控訴人鈴木に対する請求についてその全部、被控訴人髙橋に対する請求について同被控訴人が市長に就任した昭和五二年一二月二五日から監査請求一年前の前日である昭和五三年九月一二日までの間に支給された給与に関する損害賠償請求部分は、いずれも法定期間を徒過するについて正当な理由がない限り、適法な監査を経ないものとして訴訟要件を欠くに至るものとなる。

(二)  そこで、正当な理由の有無について検討する。

当審における控訴人本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。

(1) 昭和五四年六月頃銚子市で職員に対し条例に基づかない給与の支給をしたこと(いわゆる闇支給)が発覚し、これが発端となって各地方公共団体でも取沙汰されるようになった。

控訴人は、当時市川市の主権者の会の代表をしていた関係から、この問題を取り上げ、その頃から市川市職員の勤務条件についての実態調査を始めた。

控訴人は、右調査の過程で市の例規集にあたって職員の勤務時間を調べてみたところ、条例の定める勤務時間と実態との間に食い違いのあることに気付いた。

(2) そこで、控訴人は昭和五四年八月頃市川市の助役、人事課長等に面談して、右の点の疑義を質したところ、市長決裁により職員の執務時間を短縮したもので問題はないとの説明を受けた。

控訴人は、右の際に人事課長から「現行勤務時間の取扱について」と標題のある市長決裁文書の写しの交付を受けたが、右の標題等から市長が条例の定める勤務時間を市長決裁により違法に短縮したものと理解し、さらに調査をすすめ、勤務時間の違法短縮後、本来減額の措置がとられるべきものであると考えるのに、減額されないまま正規の勤務時間どおりの給与支給が継続している実情を知り、右の非違を正すべく監査請求をするに至った。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

また、(証拠略)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(1) 控訴人は、昭和四九年当時市川市内の町内会「梨風苑自治会」の会長をつとめていた。

市の広報紙「いちかわ」の昭和四九年一一月一日号に「市川市役所の執務時間が昭和四九年一一月一一日からは午前九時から午後五時までとなる」旨の記事が掲記され、その頃右広報紙が各自治会長を通じて各家庭に配布された。

(2) 昭和四九年一一月頃市庶務課で右広報紙の記事と同内容のポスターが作成され、各自治会長の手を経て町内会の掲示板に掲示された。

(3) 昭和四九年一一月二〇日付市川市公報第三九四号には、市川市達第二号として市川市長名で同年一一月一一日から執務時間の開始を午前九時からと変更する旨公告された。

以上の事実が認められる。

しかしながら、これら広報紙にせよ、ポスターにせよ、いずれも従来から行われていたいわゆる冬時間帯(後記のとおり)が昭和四九年一一月から実施されることを市民に知らせたものにすぎないし、かつ、それらは土曜日の執務時間の終了時刻には触れていないのであるから、これらが昭和五〇年三月以降執務時間を一年を通じて短縮する旨公示したものではなく、したがって、控訴人を含む市民がこれらの文書から執務時間の短縮を知り又は知り得たものということはできない。

また、右決裁により執務時間が短縮された結果、昭和五〇年三月以降も冬時間帯が解除されることなく、午前九時の執務開始が継続されたのであるから、市民はまもなく市役所の執務時間が一年を通して短縮されたことを知り又は知り得たとみる余地がある。しかし、後記のとおり勤務時間と執務時間とは本来異なる概念であり、両者は相互に全く無関係ではないが、その関係はそれほど明確なものではないから、執務時間が短縮されたとしても、それが勤務時間の短縮につながるものかどうかは職員の勤務状態についての正確な実態の把握なしには軽々に判断し難い事柄である。したがって、仮に市民が執務時間の短縮を知り又は知り得たものとしても、それだけのことから直ちに勤務時間の短縮を知り又は知り得たことにはならない。

(三)  右のとおりであるから、控訴人が監査請求期間を経過させたことについては、正当な理由があるものと認めるのが相当である。

被控訴人らの右主張も採用できない。

二  本案について

本案についての判断は、次のとおり改めるほか、原判決理由説示(原判決二六枚目表二行目から同四四枚目裏八行目まで)のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決二六枚目表六行目「本件においては」から同一一行目末尾までを「職員に対する違法な給与支給は、(1)正規の勤務時間が被控訴人鈴木の市長決裁により短縮されたこと、(2)それにもかかわらず、不足時間分に相当する給与について減額の措置がとられないまま従前の正規の勤務時間どおりの給与が支給されたことをその内容とするが、右市長決裁の趣旨及びその効果は、結局、旧勤務条例において市職員の勤務時間がどのように定められていたかについての理解にかかるのであるから、以下まずこの点について検討する。」と改める。

2  同二九枚目表九行目「と見るべきであり」から同一一行目「趣旨である」までを削る。

3  同二九枚目表末行から同裏四行目末尾までを「そうすると、旧勤務条例は、勤務時間と執務時間とが常に等しくなるように規定した趣旨とは解されないのであり、市長は、地方自治法一四八条一項により付与されている事務管理執行権限の発動により、右条例に定める勤務時間の割振りとは別異に、執務時間を設定又は変更する裁量権を有しているものと解するのが相当である。」と改める。

4  同裏九行目「(証拠略)」を「(証拠略)」と改める。

5  同三六枚目表一〇行目「(証拠略)」の次に「(証拠略)」を各加える。

6  同裏八行目及び九行目「右条例で認められた」を「前記地方自治法一四八条一項により付与されている」と改める。

三  以上の次第で、控訴人の本訴請求は、その余の点についての判断をまつまでもなく、これを失当として棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 猪瀬愼一郎 裁判官 山中紀行 裁判官武藤冬士己は転補につき署名押印することができない。裁判長裁判官 猪瀬愼一郎)

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